2013年7月30日火曜日

通訳デビューか、そうなのか。

二週間ほど関西を離れていました。

間に一度奈良に戻ってきましたが、中一日で新幹線で東京まで戻るという、おそらく後にも先にもないスケジュールでした。

最初の一週間は、群馬でプロモーションの仕事。
群馬イノベーションアワードというアントレプレナーシップのイベントに参加し、当日の模様をSNSを通じて発信させて頂きました。

このイベントは年末まで行われ、現在は起業志望の方、既に起業された方からのアワードを受け付けています。
興味がある方は、こちらのTwitterアカウントFacebookアカウントもフォローして頂ければと思います。


そして翌週は、群馬のすぐ隣の新潟まで出張でした。

毎年開催される、有名なロックフェスティバルで通訳アテンドの仕事でした。

一応「通訳」とはつくのですが、仕事はクロークでアーティストの荷物を預かったり持ち運びしたり、宿泊・会場案内をするものだったので、厳密に言うと「英語要員」と言った方がしっくりくるのかもしれません(笑)

ですが、通訳関係の方から声をかけて頂いた仕事だったので、僕の中では正式な「通訳デビュー」となりました。


(まさか、某ロックフェスがデビュー戦になるとは思ってもいませんでした…。豪華なおまけ付きでした。)


使った英語はそんなに難しくはなく、日常会話や旅で使うような表現や依頼が多かったです。でも、多くのアーティスト(日本人も含めて)と話すことができたし、相手はもちろん全員VIPなので、どれだけ丁寧に、親切に応対するかを考えながら仕事をしていました。
何かの時に"Thank you, Sir."とお礼を言ってもらったことが忘れられません(Sirなんて言われたことなかったので…)

勤務時間の関係で、夜勤入りの日中上がりという昼夜逆転生活が続き、奈良に戻った昨日から今日にかけてはずっとへばっていました(笑)


この仕事を通して思ったのは、

現場の仕事は大変やけど面白い

ということでした。


僕の場合、立ち位置的には本当にはしくれでしたが、
普段家に籠って仕事をしているので、他の人とのチームワークやマネジメントも合わせて勉強できる、アテンド系の現場の仕事はとても貴重でした。

今は特定の組織に属していないので、下手をすると人と直接会わずに仕事をしていくことが多いです。

でも、人との関わりは見過ごすことはできず、実際に人を動かしたり、組織の中で自分の役回りを果たす経験も、こういう機会を通じて重ねていきたいです。
(おそらく、今回のように単発の仕事を重ねていくのが、自分には向いているのかな…)


今までは翻訳一本でやってきましたが、先月からプロモーションの仕事の依頼を頂いたり、今回の通訳系の仕事の声をかけて頂いたりと、やっぱり「二足、三足のわらじ」を履いてこれからやっていきたい、と改めて思いました。


あまり同業のブログをみたり、情報交換をすることも殆どないのですが、僕の友人が今海外で、翻訳・通訳の道を目指してがんばっているので、その人とSkypeで時たま話をしたりして、お互いに励ましあってます。


他にもいろんなことに取組みたいし、地元でも仕事づくりなど、動いていきたいこともありますが、やっぱり翻訳・通訳系の仕事が一番好きだなー、と再認識できました。

その上にいろんなものを付け足していって、海外でも長期生活しながら仕事をしていきたい。
(自分の夢はその辺りにあるので)


これから、どんな仕事・分野に挑戦できるのか自分でも想像つきませんが、来るもの拒まずの姿勢で、どんどん挑戦していきたい。
そのためにも、日頃の研鑽も積み重ねていかないといけないですね。

2013年7月29日月曜日

MY INTERPRETER DEBUTE

25th July through 28th July, I stayed at Naeba (Niigata Prefecture) as a translator/English assistant staff for FUJI ROCK FESTIVAL, which many artists around the world get together and play their music.

As though I had no experience as a translator, I was chosen for this event staff.
I mainly supported the artists at the cloak desk for their baggage drop-off and introduce the hotel equipments through three days.

My working hours were from midnight to around afternoon, so the condition not so easy for me. It was my first job experience at such event and I had of course many confusions, but I assisted the artists as much as I could with respect. They seemed being satisfied with our treatment.

Working at my house mainly, I have very few opportunities to work at such environment so this opportunity was precious and fruitful for my future career. 

I really appreciate that I could experience this work and those who introduced it me.

2013年7月24日水曜日

翻訳は受験英語ではない。

今回も仕事の話。


この前、翻訳の案件を納品したら相手から「英語が苦手な私でも明らかに分かる、文法の間違いがありました。失礼ですが、どれ程の英語力なのでしょうか」というメールが後から届いてびっくりしました。


この仕事は、
・数ページの論文を日本語に訳す
・相手は大学生(授業かレポートでいるらしい)

というもので、クレームが来たのは料金が支払われてからでした。

クラウドソーシングサイトを使っての、ちょっとした案件だったのですが、まさかこんなクレーム(?)が来るとは思ってはいませんでした。

(そのメールではとりあえず謝罪をして、こちらの非を認めつつ、「どこが間違っているか、具体的に教えてもらえませんか」という返信をして、現在相手からの連絡を待っている状態です。いくらなんでも、具体例なしにクレームをつけられても対応のしようがないので。)


もし、こちらの不備であれば完全に悪いのですが、今回のクレームで引っ掛かるのが「文法的な間違い」というものです。

これが例えば、専門用語の明らかな間違いや、誤字脱字があまりにも多い、といった内容であればこちらが100%悪いのですが、「文法が間違っている」というのは、必ずしも悪い事ではないと思うのです。


なので今回は、「翻訳と受験英語は全く別もの」ということを書こうと思いました。

この方は大学生ですし、恐らく大学受験では英語をしっかりと勉強されたのだと思います。
文法も単語もしっかりと勉強して、苦手ななりに構文把握や日本語訳、英作文等に取組んで、受験本番でも良い成績を収められたのだと思います。

そんな人からすると、「プロの翻訳」と名乗っている僕が明らかな文法間違いをしていると、確かに信憑性は揺らいでしまいます(なおかつ直接会っていないので、ウソをついているかどうかも分かりません)。



だがしかし、です。


翻訳をしていて思うのは、「英語の文法に則っていたら翻訳はできない」ということです。
(僕も勉強中の身ですが、勉強をすればするほど、そして実際に仕事をすればするほど、このことは痛感します。)

どういうことか、例を見てみましょう。


例①
The video includes an ominous list of "don'ts".

この一文、あなたならどう訳しますか?


これは翻訳勉強向けの本にあった一文なので少々難しいのですが、それでは次の例はどうでしょう?

例②
The service includes a welcome drink, relaxation massage, dinner show and morning call.
(文は適当です)

この文章を受験英語風に訳すと、次のようになるでしょうか。

A:「そのサービスはウェルカムドリンク、リラクゼーションマッサージ、ディナーショー、モーニングコールを含んでいます。」

恐らくこうなると思いますし、僕も受験だとこう書くかもしれません。

しかし、上の文章、果たして「読みやすい日本語」でしょうか?

僕は、日本語では「〜を含んでいる」より「〜が含まれる」という受け身が使われることが多いような気がします(感覚的に)。

なので例えば、上の文だと

B:「サービスにはウェルカムドリンク、リラクゼーションマッサージ、ディナーショー、モーニングコールが含まれています」

としたほうが、自然だと思うのですが、みなさんはどう思われたでしょうか?


受験英語だと、Bは恐らく間違いだと思います。なぜなら英語に受け身形が使われていないから
(僕は予備校に通ったこともなく、受験英語を教える側になったこともないので本当は分からないのですが。僕だと受験でもAを書いてしまう気がします。)


でも、Aが読みやすい文章かどうか、と考えることを考えると、案外Bのほうが正解だったりするかもしれません(正解があるかどうかもわかりませんが)。

ですので、英語と日本語を比較して、文法的な間違いがあるからあなたの英語力は信用できないというのは、あまりに短絡的な発想だと思うのです(もちろん、部分的には正しい事だと思いますが)。

ちなみに、①の日本語訳の例は次のようなものでした。

「ビデオでは恐ろしげな禁止事項も並べられる。」


ここでも、英語は能動態ですが日本語は受動態になっていますよね。


これはあくまで一例なのですが、英語と日本語は根本的に文の作りが違っていたり、語感が違っていたりするんですね。

英語だと生物以外のものが主語になったり、能動態が多く使われたり、長い主語は嫌われる(さっきの②の場合だと、Welcome drink, relaxation massage, dinner show and morning call are included in the service とするのはとても気持悪いです)、といったような特徴があると思います。

逆に日本語だと、主語が明示されなかったり、受け身(〜される、〜られる)という表現が多く使われたりと、別の特徴を持っています。

なので、今回のクレームが、上記のような「受験英語的にいうと正しいけど、翻訳として考えると必ずしも正しいわけではない(「間違っている」という主張は間違っている)」ものである可能性もあるわけです。

まだ、どこが間違っているかの指摘を頂いていないので、もしかするとこちらの完全な間違いかもしれないのですが、それでも今回書いたようなことになっている可能性は多いにあるわけですので、翻訳という仕事について、自分が思ったことを書いた次第です。


翻訳をしていると、文法的に正しい訳をしていても、仕上がった後で全体を読んでみると不自然な文章になっていることもあるので、「木を見て森を見ず」という状態にはならないように、気をつけていかないといけないな、と思っています。
(これは全ての仕事にあてはまることかもしれませんが)


仕事に関しての記事は、「時間とエネルギーを割くのだからきちんと対価を支払うべき」ということについてのこちらの記事や、LinkedInを通してインドから仕事を頂いたことについてまとめたこちらの記事、クラウドソーシングサイトを使って仕事をやっていく可能性について書いたこちらの記事、そして組織に属さず仕事を3ヶ月程やってみた時に書いたこちらの記事もありますので、これらも読んで頂ければ、何かの参考になるかもしれません。

2013年7月20日土曜日

GIAオープニングフォーラム、無事に終了しました。

群馬イノベーションアワード(GIA)オープニングフォーラム、無事終了しました。

僕はSNS告知担当として、ずっと真ん前の報道席に座らせて頂き発信を続け、小山薫堂さんの講演をはじめ、面白い内容を聞くことができました。

このイベントに関わらせて頂いて、群馬県が「グンマー」と呼ばれる所以が分かった気がします。
群馬県はたぶん、「変人」ならぬ「変県」です(もちろん良い意味で)。

このイベントの主催は地方紙新聞社と群馬発の起業家が社長の企業です。
そしてこの方々が「起業をするなら群馬で!」と言っている。
普通、県とかの自治体が「県民よ、起業をしよう!」なんて奨励しないと思います。あっても一企業とか、興味を持っている学生とか。

地方紙と複数の企業が手を組んで、クリエイターの小山薫堂さんまで呼んで起業奨励のイベントを行うなんて、日本では空前絶後なんじゃないかと。

「ジャパニーズドリームを群馬から」という合言葉もありますが、本当に群馬はアントレプレナーシップの出発地になると思わせるイベントでした。



ご縁に感謝です。

2013年7月19日金曜日

群馬イノベーションアワード

東京からおはようございます。

今月20日に群馬県前橋市で行われる、「群馬イノベーションアワード」というアントレプレナーシップのイベントに参加するためです。

http://www.gi-award.com/

今回は、ビジコンでの発表という形ではなく、SNSでのプロモーションという役回りです。

群馬に縁もゆかりもないのですが、先月からこのような形で関わらせて頂くことになりました。


このイベントなのですが、20日に行われるのは「オープニングフォーラム」というもので、その後年末にかけてアワードの募集、発表、表彰という形でイベントが続いていきます。

まず、このオープニングフォーラムなのですが、内容が
・小山薫堂氏による講演
(小山さんは「くまモン」のプロデュースを行ったり、「おくりびと」の脚本を書いたりと、知る人ぞ知るクリエイター)

・群馬に縁のある起業家・事業家を招いてのパネルディスカッション

となっており、これらがUstreamで配信されます。(20日15時〜)

こちらが配信ページです。→http://www.ustream.tv/channel/gi-award

これ、すごいと思いませんか?小山薫堂さんと起業家・事業家の方の講演・討論が家にいながら見れるんです。

ビジコンや起業系のイベントをUstで見れるなんて、あまりないことだと思います。


今回は告知なのですが、超有名人の話が無料で聞けるこの機会、是非見逃さないで下さい。

群馬イノベーションアワードのTwitterアカウントはこちら
(ハッシュタグは#giaward)

同Facebookページはこちら


よろしくお願いします!


〜〜以下配信情報詳細〜〜
①基調講演「起業のすゝめ」:小山薫堂氏

映画「おくりびと」の脚本執筆やゆるキャラ「くまモン」のプロデュースなど、多方面で活躍されている小山薫堂氏が登場!タイトルは、「イノベーションのためのアイデア塾」。
さて、この日は一体どのようなアイデアが出て来るのでしょうか?

②パネルディスカッション
群馬県に縁のある起業家・事業家三名にもご登壇頂きます。
その三名はこちら↓↓↓↓
・メガネの販売本数日本一!!! 
Jins http://www.jins-jp.com/
Jinsのメガネはなんと販売本数日本一!田中仁社長の起業のエピソードを交え、これから起業を目指す若き起業家への成功のヒントを伺います。あの大ヒット商品のPCメガネはどうして生まれたのか、どこにイノベーションのヒントがあったのか、知りたいですよね! ご存知のように、田中仁社長はアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン2010で大賞を受賞。日本代表に選ばれ世界大会に出場した、まさに日本を代表する起業家です。ぜひ、お見逃しなく!!

・カラオケ店舗数日本一!
カラオケ本舗まねきねこ http://www.karaokemanekineko.jp/
みなさんの大好きなカラオケ。日本一の店舗数を誇るカラオケチェーンはご存知ですか? そこは、「カラオケ本舗まねきねこ」です。社長の腰高博社長は家業のラーメン店を受け継ぎながら、新規事業としてカラオケチェーンをスタート!独自の経営スタイルであっという間にカラオケ店舗数日本一を達成!今話題の一人カラオケも絶好調!その人気の秘密やこれからウケるであろうビジネスのヒントをぜひこのユーストでキャッチしてみて下さい。

・豆腐の売り上げ日本一!
相模屋食料 http://sagamiya-kk.co.jp/
ご存知ですか、お豆腐の売り上げ日本一は? なんと「ザクとうふ」で有名な相模屋食料。ガンダム好きには堪らないお豆腐ですが、実は同社の実力は、その製造技術や生産システムにあるのです。豆腐業界で初めて、年商100億円を突破。2012年2月期の売上高は120億円売り上げを誇る、まさにブッチギリの業界の雄です。さて、若き(30代)鳥越淳司社長が語るイノベーションの秘密とは?


2013年7月14日日曜日

【参院選】期日前投票に行ってきました。

今日、期日前投票に行ってきました。

これですね。


期日前投票に行くのは初めてでしたが、特に問題もなく終わりました。

今回、僕の投票の軸は

・原発
・経済政策(雇用・就労)

の二つでした。

原発については再稼働断固反対、雇用政策は規制緩和をしない方向で。

具体的な投票先はここでは書きませんが、上の方針に則った政党・候補者のいずれかです。


実は今日投票に行く前に、友達のたくが、ブログで投票先とその理由を書いていて驚きました。
(ここでは不在者投票についても詳しく載っているので、下宿している大学生も多いに参考にできます)

僕はここまでオープンに書けない(というか、そこまで深く考えてない…)のですが、こんな風に、各有権者が自分の意見をネットで出し合うのも、投票の際の一つの指標になるな、と思いました。

たくのブログにも載っていますが、「政党のマニフェストが分からない!」という人は、以下の二つのリンクがとても参考になります。
参院選2013 政党情報

参院選2013 マニフェスト・公約比較表

新聞だと、数日にわたって分野ごとに詳しい説明が出るから横断的に比較するのが難しくて、ネットのこれらの情報はすごく分かりやすかった。

ただ、全体的に政党の主張が「字面を並べる」だけで、具体的な目標がなかったり、その成果を達成した際にどんな風に世界が変わるのか、という言及がなかったのは、やっぱり残念でした。

やっぱり、言葉だけじゃ不十分。


また、最近強く思いますが、選挙に行くだけじゃ何も変わらない(特に、世代間での一票の格差が違いすぎる)ので、ミクロの世界で、自分の周りでできることを増やしていって、コツコツ地道に変化を作っていくことも、これまで以上に大事かと思っています。

選挙権は文字通り「権利」なので、それを行使しつつ、淡々と自分のできることをしていく必要があると思います。

2013年7月13日土曜日

Kindle Paperwhiteを購入しました

今日、前から気になっていたKindle Paperwhiteを購入しました。




本当は、3月末に東京に数日行くことがあって、その時の移動でも使いたいので買おうと思っていたのですが、急遽仕事が入ったので、時間的にも厳しくなり、今回になったのです。

来週後半から、再度一週間ほど関東方面に行く用事があり、今回は移動も多くなるので満を持して購入しました。

KindleはPaperwhite以外にも、3Gなどタブレット機能がついたものも販売していますが、僕は用途によって使い分けたいので、読書専用に一番シンプルなこちらを買ったというわけです。

値段は7,980円、Amazonのサイトで、一般の書店で買うより20〜100%安く本を買うことができます。(無料で買えるのもあります)
保存できる本の数は約1,000冊みたいです。


実は、このKindleの端末に出会ったのは、去年2月にヨーロッパを旅していた時でした。

当時Couchsurfingを使って、ノルウェーで泊めさせてもらったホストが「これが便利」と言って見せてくれたのが、上のKindleでした。

当時はタブレット端末について殆ど知らなかった僕ですが、彼もすごく旅好きで「旅に行く時はいつもこれ一つだけ持っていく」と言っていたのが印象に残っています。

Kindle PaperwhiteはWiFiにも接続できますが、Amazonで本を購入するためだけで、Webの閲覧等は一切できません。

でも、このほうが必要以上にネットに繋ぐことも無いですし、便利なのかもしれません。

彼と出会った時、僕は日本から何冊も本を持って(しかも分厚い本まで)ヨーロッパを渡り歩いていたわけですが、かさ張りもして荷造りも大変でした。

次回は、この端末をカバンに忍ばせて旅に出たいですね。


2013年7月11日木曜日

仕事にて

これはTwitterでもつぶやいたことなのですが、

クラウドソーシングサイトを経由して、翻訳家の方から「翻訳を手伝って欲しい」という依頼が来ました。
内容は、その方が受け持っているクライアントさんの本(文章)の英訳・文章チェックを手伝って欲しいというもので、そのデータと訳文、主旨説明の本(概要)を送って頂きました。

そこで、内容をチェックして見積もりを出して、どれくらいで担当させて頂くかの返信を待っていたら、
「作者の方は趣味で出版されており、無償で提供されているサービスや機能を駆使して安価で進めることを希望しており、ご希望の金額に見合いませんでした」
という連絡が来て、拍子抜けしてしまいました。

こっちは、「さすがにこの金額のまま通るとは思わないから、相手の希望も合わせて、内容擦り合わせやな〜」くらいに思っていたので、まさか何も交渉することなく終わってしまったことに、本当に驚いてしまった。

ボールがすっぽ抜けた感じ。

仕事が取れなかったことはなんとも思っていないのですが、「無償で提供されているサービスを…」なんていうのは最初に提示されていなかったので、そのあたりは後だしジャンケンにはしてほしくないな、とは思いました。

そして、それ以上に腑に落ちなかったのは、
「趣味でしているから予算が無い」
みたいなロジックで交渉の腰を折られたこと。

果たして、本当に「趣味でする」=「お金が払えない/予算が無い」なのでしょうか?

「趣味でしているから予算が無い」というと聞こえがいいですが、それは単に「お金を払いたくない?」ことではないのでしょうか。

例えば、旅行が趣味の人。
彼らは鉄道で旅行をするとき、キセル乗車をするのでしょうか。
船で旅行をするとき、券を買わずに潜り込むのでしょうか。

バイクや車が好きな人は、自分で車を買って、それを自分流にアレンジして乗り回しています。
お金がないからレンタカーを使う、なんて方はおられないでしょう。

カメラが趣味の人。
家電屋で一眼レフやカメラバッグ、三脚を揃えると思います。

趣味にしても仕事にしても、何かを手に入れるには(財でもサービスでも)、私たちは対価を払います。

外食する時も、映画を見る時も、家具を買う時も。

そこで払う対価は一般的に「お金」です。
だから、「趣味でやっているからお金がない」なんていうのは、ロジックでもなんでもなくって、「私はあなたに対価を支払えない」ということを婉曲的に表現しているだけなんですね。


今回の場合であれば、「機械翻訳で安価な〜」ということであれば、自分でネットを検索して、翻訳をすることが可能です。
もしくは、機会翻訳されたものをチェックする、という方法をとれば、もうすこしお互いにメリットが大きかったかもしれません。

僕は幸いにも、他にも複数仕事を頂いており、今回の案件は費やす時間とエネルギー(コスト)に見合った成果(ペイ)が得られないと思ったのであっさりと切り捨てました。

ただ、依頼して来た翻訳者も「ボランティアでやっている」と言っていたので、他に手伝う人が現れたら、それは搾取以外のなにものでもないな、と思ってしまいました。
(これは決して他人事ではない)。


翻訳という仕事柄、発注者は成果物の価値をきちんと理解できない(言語がわからなかったりするので)ことが普通だと思いますし、これは案外特殊な仕事なのかな、とも思い始めました。
(僕も以前、フランス語の翻訳を知人に頼みましたが、成果物を見てもまったく分からなかったので、いつもクライアントさんがどんな風に思っているのか、想像できました。)


でも、「成果物の価値がイマイチ分からない」というのは、案外他の(いや、全部?)仕事にも当てはまると思うのです。

例えばITのプログラマやデザイナーの方がおられますが、僕はその分野は全く分からないので、どんな風に仕事をしているのか、とか、その過程での苦労などわかりません。

逆に言うと、仕事というのは、全て「代行業」なのかもしれません。
言葉がわからないから、翻訳や通訳をその道のプロに代行してもらう。
ウェブが分からないから、HP作成やSEOをその道のプロに代行してもらう。
人材教育・採用、ものづくりでもなんでも、これは全てにあてはまるものなのではないでしょうか。

だから、そういうことに対して、時間とエネルギーを費やして自分の代わりに行ってくれる「プロ」には、きちんと対価を払うべきなのではないでしょうか。


以前、どこかで「給料は我慢料ではない」というような言葉(叫び)を目にしましたが、日本にはまだまだ拝金主義(お金を払う人が偉い・お金を稼ぐことは汚い)が蔓延っているのかもしれません。


いろいろと書いてしまいましたが、今回の件は決して他人事ではなく、自分もともすると「搾取する側」に回ってしまうことが十分にあると思っています。

「きちんと対価を払う」ということは、意識をしていても実行するのは難しいので、「他人のふりみて我が身を直せ」という言葉を謙虚に受け止めて、これからの自分が同じようなことをしないように心がけていこうと思いました。


日々勉強です。